惑星が増えた年ではなく、発見の名簿が増えた年
星空の向こうには、太陽以外の恒星を回る惑星がある。その発見は、毎年少しずつ同じような速さで積み上がってきたのだろうか。NASA Exoplanet Archiveの記録を発見年ごとに数えると、滑らかな右肩上がりではなく、いくつかの大きな山が現れる。
今回使ったのは、一つの惑星につき一行が用意された複合パラメータ表だ。2026年10月1日に取得した版から、発見年が2025年までの登録を選ぶと、対象は6,089個になった。これを年別と発見方法別の二方向から数えてみる。
これは宇宙に存在する惑星の総数ではない。その年に惑星が誕生した数でもない。人類が惑星を見つけた履歴を、現在の名簿から遡った記録である。棒や折れ線が動く理由を考えると、遠い天体だけでなく、それを見つける観測や検証の仕事も見えてくる。
二〇一四年と二〇一六年に、大きな山がある
年別に数えると、2014年は872個、2016年は1,504個だった。その間の2015年は155個、翌2017年は152個。二年おきに現れる大きな山と、その前後の差が目に入る。
2016年の件数は今回の対象全体の約四分の一に当たる。2014年と2016年を合わせると2,376個で、全体の約三十九パーセントになる。三十年以上にわたる名簿なのに、二つの発見年だけで四割近くを占める計算だ。
一方、2021年から2025年までの五年間を足すと1,759個になる。2016年の一つの山は、その五年間の合計にも近い規模だと分かる。もちろん、だから後の研究が五倍遅くなったという意味ではない。年別件数は研究の一部分を数える物差しであり、惑星を詳しく調べる仕事の量まで表してはいないからだ。
夜空に惑星が突然湧いてきたわけではない。この急な増え方を理解するには、観測対象だけでなく、観測してから確かめて公表するまでの過程へ目を向ける必要がある。

グラフの数値を表で読む
| 国・年 | 発見年別 |
|---|---|
| 1,992 | 2 |
| 1,993 | 0 |
| 1,994 | 1 |
| 1,995 | 1 |
| 1,996 | 6 |
| 1,997 | 1 |
| 1,998 | 6 |
| 1,999 | 13 |
| 2,000 | 16 |
| 2,001 | 12 |
| 2,002 | 29 |
| 2,003 | 22 |
| 2,004 | 27 |
| 2,005 | 36 |
| 2,006 | 32 |
| 2,007 | 52 |
| 2,008 | 62 |
| 2,009 | 87 |
| 2,010 | 93 |
| 2,011 | 141 |
| 2,012 | 144 |
| 2,013 | 128 |
| 2,014 | 872 |
| 2,015 | 155 |
| 2,016 | 1,504 |
| 2,017 | 152 |
| 2,018 | 308 |
| 2,019 | 194 |
| 2,020 | 234 |
| 2,021 | 564 |
| 2,022 | 367 |
| 2,023 | 323 |
| 2,024 | 260 |
| 2,025 | 245 |
最も多いのは、惑星そのものを撮影する見つけ方ではない
同じ6,089個を発見方法で分けると、トランジット法が4,507個、視線速度法が1,158個、重力マイクロレンズ法が263個、直接撮像が91個、その他が70個となった。最初の二つだけで全体の約九十三パーセントを占める。
トランジット法は約七十四パーセント、視線速度法は約十九パーセント。遠くの惑星を望遠鏡で写真に撮る場面を想像していると、直接撮像が約一・五パーセントという構成は意外かもしれない。
この分類は名簿に記された発見方法である。後から別の方法でも観測したかどうかをすべて数えた一覧ではない。一つの惑星に複数の研究があっても、この図では登録された発見方法の欄で一度だけ数えている。
年別の山と方法別の偏りを並べると、発見の歴史は「大きな望遠鏡で遠くを見る」だけでは語れないことが分かる。星の光のわずかな変化から、直接には見えない惑星の存在を確かめる技術が、名簿の大部分を埋めているのだ。

グラフの数値を表で読む
| 国・年 | 値 |
|---|---|
| トランジット | 4,507 |
| 視線速度 | 1,158 |
| 重力マイクロレンズ | 263 |
| 直接撮像 | 91 |
| その他 | 70 |
恒星の前を横切る、小さな影を読む
トランジットとは、こちらから見て惑星が恒星の前を通ることだ。恒星の光の一部が隠され、明るさがほんの少し下がる。この変化を捉えるのがトランジット法である。
想像しやすいのは、明るい照明の前を小さな物体が横切る場面だ。物体そのものの姿が細かく見えなくても、照明の明るさが変わることは測れる。天体観測では、星の明るさを時間とともに記録し、その変化を手掛かりにする。
ただし、どの惑星も地球から見て恒星の前を通るとは限らない。軌道の向きが違えば、惑星が存在していても同じ見え方にはならない。発見方法の構成が、そのまま宇宙に存在する惑星の構成を表すわけではない理由の一つが、この見える向きの条件だ。
また、星が暗くなったというだけで、直ちに新しい惑星と決まるわけでもない。別の天体や現象で似た変化が起きていないかを検証する過程がある。明るさのログに残った小さなくぼみから、惑星の名簿の一行になるまでには、観測と確かめる仕事の両方が必要なのである。
惑星に引かれた恒星の動きから、見えない相手を探す
視線速度法で主に測るのは、惑星の光ではなく恒星の動きだ。惑星と恒星は重力で引き合っているため、恒星の側にも動きが生じる。その動きのうち、こちらへ近づいたり遠ざかったりする成分を、光のスペクトルの変化から調べる。
惑星は星の周りを回り、星は真ん中で完全に止まっている、という簡略図を思い浮かべていると、この方法は少し不思議に感じるかもしれない。実際には惑星の重力も恒星へ働く。その痕跡を、明るい星の光の中に探しているわけだ。
トランジット法が光の明るさの変化を見るのに対し、視線速度法は光から運動の情報を読む。同じ恒星を観測していても、見ている変化の種類が違う。別の方法で得られる情報を組み合わせることも、惑星を詳しく知る手掛かりになる。
今回の名簿には視線速度法による発見が千個以上ある。直接惑星を写さなくても、その相手の星が残す動きから存在へ迫れる。方法別の棒の長さには、こうした間接的な観測が発見を支えてきた歴史が表れている。
二〇一四年の発表へ戻ると、観測と公表の時差が見える
年別グラフの山が気になったら、その年の発表へ戻ってみよう。NASAは2014年2月に、ケプラーの観測から715個の新しい惑星を検証したと発表している。対象は305個の恒星を回る惑星だった。
発表で説明されている観測データの期間は、2009年5月から2011年3月。観測した年と、惑星として検証して公表した年が同じではないことが分かる。一年ごとの発見数は、その年だけ空を見て得た成果を即座に袋へ入れた数字ではないのだ。
この研究では、一つの恒星の周りに複数の惑星候補がある場合の特徴を利用し、多数をまとめて検証する統計的な手法が使われた。過去に集めた観測記録へ、新しい確かめ方を適用することで、名簿に大きなまとまりが加わる。
ただし、この発表の715個を、現在のアーカイブで2014年に分類される872個と同一視はしない。前者は特定の研究発表、後者は今回取得した名簿の発見年別合計であり、対象範囲も版も違う。発表は山の背景を知る具体的な手掛かりになるが、年別の全件を一つのニュースだけで説明しきるものではない。
二〇一六年の山にも、「一度に確かめる」仕事があった
NASAは2016年5月、ケプラーのデータから1,284個の新しい惑星を検証したと発表した。プリンストン大学の研究紹介も、新しい検証手法によって、多数の候補を惑星として確かめた経緯を説明している。
この出来事を知ったうえで2016年の山を見ると、発見数が跳ね上がる仕組みが具体的になる。新しい望遠鏡が新しい光を受け取るだけでなく、すでに蓄積された候補を整理し、統計的に判定する方法が名簿の増え方を変える。
グラフの一つの点の背後には、観測装置、過去のデータ、解析方法、公表の時期が重なっている。件数の山を見て、その年に宇宙のどこかで惑星が増えたと考える人はいないだろう。しかし「その年の観測が急に増えただけ」と捉えても、まだ履歴の一部を落としてしまう。
こちらも1,284個の発表と、今回の集計の1,504個を機械的に一致させることはしない。後からの名簿の更新もありうるため、研究発表の対象一覧と現在の登録を一個ずつ照合しない限り、差分のすべての理由は決められない。それでも、大規模な検証が発見年の山を作る背景になりうることを、実際の発表から辿れる。
一行を一惑星として数えるために、表を選ぶ
アーカイブには、同じ惑星に関する複数の研究結果を収録する表もある。論文ごとに異なる測定値が記録されていれば、同じ惑星の名前が何行にも現れる。そこで行数をそのまま足すと、惑星の数ではなく研究結果の行数を数えてしまう。
今回は一惑星につき一行を持つ複合パラメータ表を使った。年別と発見方法別で別々に集計し、それぞれの合計が6,089個になることも確かめている。図が違っても、数えている対象の集合は同じだ。
発見方法の「その他」七十個には、図で個別の棒にしていない複数の方法が含まれる。小さな分類をまとめた表示であり、データのない惑星を勝手に一つの方法へ置き換えたわけではない。詳しい内訳は保存した方法別の取得データに残している。
数える作業で重要なのは、足し算を始める前の一行の意味である。星の数なのか、惑星の数なのか、惑星を扱った論文の数なのか。同じ宇宙の研究でも分母が変わる。表を選ぶという地味な一歩が、二つのグラフを同じ履歴として読めるようにしている。
「その他」の七十個を、もう一段開いてみる
方法別の取得結果で「その他」の中身を見ると、トランジットの時刻の変動によるものが二十七個、食の時刻の変動が十七個、軌道に伴う明るさの変調が九個、パルサーのタイミングが八個、位置天文学が六個、脈動のタイミングが二個、円盤の運動によるものが一個となっている。これらを足すと七十個になり、図の最後の棒と一致する。
ここで面白いのは、光がどれだけ弱まったかだけでなく、変化がいつ起きたかも手掛かりとして名簿に現れることだ。光の強さや波長に加えて、時刻という別の読み方がある。
グラフを見やすくするためにまとめた小さな棒も、その中には異なる観測の工夫が入っている。最大の棒だけを見て終わらず、最後の棒を一度開いてみると、発見の歴史の枝分かれに出会える。少数の分類まで元データへ戻れるのが、公開された名簿を自分で数える楽しさである。
直接撮像が少ないから、写真が役に立たないわけではない
直接撮像は、明るい恒星のそばにある暗い惑星の光を捉える方法だ。今回の発見方法別では九十一個と、トランジット法よりずっと少ない。しかし件数の少なさを、科学的な価値の小ささへ置き換えることはできない。
この図で比べたのは、発見方法として登録された件数である。惑星の大気や性質についてどれだけ情報を得られたか、どの対象を詳しく調べたかという成果は数えていない。大量の惑星を探す仕事と、一つの惑星を深く知る仕事は、同じ物差しだけでは比較しにくい。
重力マイクロレンズ法にも、別の観測の仕組みがある。手前の天体の重力が奥の星の光へ及ぼす効果を手掛かりにする方法で、星の前を惑星が横切って光を隠すトランジットとは異なる。同じ明るさの記録を使う場合でも、何がその変化を生んだかが違うのだ。
方法ごとの棒を勝敗の表として見るより、人類が見えない天体へ迫る道具の棚として見ると面白い。影を読む、動きを読む、光の曲がりを読む、光そのものを捉える。夜空の一点から取り出せる情報には、いくつもの入り口がある。
発見のログは、観測のログと研究のログが重なったもの
今回の年別図は、現在の登録内容を過去の発見年へ振り分けたものだ。それぞれの年末に公開されていた名簿を、そのまま保存して並べた時点別の記録ではない。後から登録や分類が更新されれば、過去の年に割り当てられる件数も変わりうる。
2026年の途中までの数字は、年間の長さを揃えるために対象から外した。だから6,089個という値を、そのまま「今日知られている全惑星の数」として使うこともできない。発見年を2025年までに絞った、今回の集計の対象数である。
二つの図から見えてきたのは、発見の歩みには大きな山があり、その名簿の多くは惑星を直接撮影する以外の方法で埋まっているということだ。山の年の発表を辿ると、観測した光を後からまとめて確かめる仕事も見えてきた。
星空そのものは静かに見えても、人類がそこから読み出す情報は変わり続ける。小さな明るさの変化や、星の動きの痕跡が、やがて一つの惑星の名前になる。発見の件数を数えることは、宇宙の名簿を眺めるだけでなく、人類がどんな方法で世界を知ってきたかを辿ることでもある。
辿った記録
- NASA Exoplanet Archive・列とテーブルの定義
- NASA・系外惑星を見つける方法
- NASA・取得した発見年別API
- NASA・取得した発見方法別API
- NASA・2014年の715惑星の検証発表
- NASA・2016年の1,284惑星の検証発表
- プリンストン大学・惑星候補を検証する手法
- NASA・系外惑星を確認する手順
データ取得・確認:2026年10月1日。比較は図に記した対象年・取得版による。本文を全面的に書き直し、図表と出典を更新しました。

