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世界の電力は石炭を追い越した?再エネ時代の転換点を数字で検証

2025年、世界の再生可能エネルギーによる発電は石炭火力とほぼ同じ規模になった。IEAの集計では両者の構成比はともに約34%。長く世界最大だった石炭の座が、初めて本格的に揺らいでいる。

公開日
2026.07.24
更新日
2026.07.30
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2025年、世界の再生可能エネルギーによる発電は石炭火力とほぼ同じ規模になった。IEAの集計では両者の構成比はともに約34%。長く世界最大だった石炭の座が、初めて本格的に揺らいでいる。

ただし「再エネが石炭を追い越した」と聞いて、化石燃料の時代が終わったと考えるのは早い。世界の発電量は増え続け、石炭とガスを合わせれば今も半分を超える。

この記事では、IEA「Global Energy Review 2026」を使い、2025年の電力転換が本物なのかを、構成比と発電量の増加分から検証します。

わずか1年で再エネと石炭が並んだ

2024年の世界の発電構成は、石炭35%、再生可能エネルギー32%だった。差は3ポイントある。それが2025年には石炭34%、再エネ34%となり、統計上ほぼ並んだ。

変化の主役は、再エネ全体の緩やかな成長ではなく太陽光の急増だ。太陽光発電は2025年に約600TWh増え、総発電量は約2,700TWhに達した。単一電源の年間増加量として、危機後の反動を除けば過去最大だった。

「設備容量」ではなく、実際に発電された電力量を比較しています。太陽光や風力は稼働率が異なるため、容量だけで石炭と比べると実態を誤解します。

長期的な再エネの普及状況を見ると、この転換は一時的な変化ではない。

世界の需要増の7割を太陽光だけで埋めた

2025年の世界の発電量は前年比で850TWh以上増えた。そのうち太陽光の増加は約600TWhで、単純比較すると全体の約7割に相当する。

さらに風力、水力、その他再エネと原子力を合わせると、低排出電源の増加量は世界全体の需要増を上回った。その結果、天然ガス発電はわずかに増えたものの、石炭の減少がそれを上回り、化石燃料による発電は全体として少し減った。

2025年の転換点は、電力需要が増えたのに化石燃料発電が増えなかったこと。景気後退ではなく低排出電源の成長が需要増を吸収した点に意味があります。

世界平均の裏側では国ごとに逆方向

世界全体で石炭発電は約0.5%減ったが、すべての地域で同じ変化が起きたわけではない。中国では石炭発電が約1.5%減り、インドでも3%減少した。一方、米国ではガス価格の上昇や需要増を背景に石炭の構成比が16%から17%へ上がった。

中国の発電構成では石炭がなお55%、インドでは71%、東南アジアでは48%を占める。世界平均で再エネと石炭が並んでも、電力転換の現在地は地域によって大きく違う

再エネの発電量は天候に左右されます。送電網、蓄電、需要調整、安定電源を同時に整えなければ、発電量の増加だけで安定供給は保証されません。

AIの電力需要は転換を逆回転させるのか

世界の電力需要は2025年に約3%増えた。これはエネルギー需要全体の伸び1.3%の2倍を超える。EV、冷房、産業の電化に加えて、データセンターも需要を押し上げている。

AIと電力の関係は「AIの電力需要は本当に危機なのか?」で詳しく見た。需要が増えること自体より、増加分をどの電源で賄うかが排出量を左右する。

2025年の低排出電源比率は43%で、過去50年で最も高かった。一方、石炭34%とガス21%はまだ巨大だ。転換点を通過したことと、転換が完了したことは別である。

排出量の総量と一人あたりの違いは「CO2排出量が多い国はどこ?」も参考になる。

まとめ

・2025年の世界の発電構成は再エネと石炭がともに約34%となった
・太陽光発電は約600TWh増え、世界全体の発電増加量850TWh超の約7割に相当する
・低排出電源は43%まで増えたが、石炭とガスはなお発電の過半を占める

2025年は、増える電力需要を低排出電源の成長で吸収できることを世界規模で示した年だった。次に問われるのは、これを一度きりの記録ではなく毎年の構造変化にできるかだ。

データソース:IEA「Global Energy Review 2026」IEA「Electricity supply」IEA「Global trends」

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