「結婚しない人が増えた」と言うと日本特有の現象に見えやすい。だがOECDのデータを見ると、婚姻率の低下はかなり広い国で起きている。日本だけが急に変わったわけではない。
ただし同じ低下でも国ごとに意味は違う。結婚が減っても出生率への影響が小さい国もある。逆に婚姻率の低下がそのまま少子化へつながる国もある。
まず「婚姻率」とは何かを整理する
ここで扱うのは crude marriage rate だ。1年間に人口1,000人あたり何件の婚姻があったかを見る。個人が一生のうちに結婚するかどうかを直接示す指標ではないが、社会全体の結婚の勢いを見るには便利だ。
データで現状を整理する
OECDによると、2022年の婚姻率はOECD平均で4.3件だった。人口1,000人あたり4.3件という水準だ。
1990年には多くのOECD諸国で婚姻率は5から7の間にあった。そこから大きく低下した。つまり結婚離れはかなり広い範囲で起きている。
結婚しない人が増えているのは日本だけではない。先進国のかなり広い範囲で起きている。
どの国が低く、どの国が高いのか
2022年の婚姻率が特に低い国としてOECDはコロンビアの1.4を挙げている。逆に6以上だったのはハンガリー、ラトビア、トルコ、アメリカだ。
さらに重要なのは長期変化だ。1990年から2022年の間に婚姻率が上がったのは、OECDではハンガリーとアイスランドだけだった。ほとんどの国では低下した。
日本の結婚離れは例外ではない。むしろ国際的な流れの一部だ。
なぜ結婚は減るのか
背景にはいくつもの要因がある。教育期間の長期化。女性の就業拡大。都市化。住宅費の上昇。結婚しなくても生きていける社会。これらが重なると結婚は「早くして当たり前」の行動ではなくなる。
さらに価値観も変わった。個人の自由や相性の重視が強くなると、無理に結婚を選ばない人も増える。これは衰退だけでなく選択肢の拡大でもある。
考察:問題は結婚離れそのものではなく、日本の結びつき方にある
欧米では婚外子の割合が高い国が多い。だから婚姻率が下がっても出生率への打撃が比較的小さい場合がある。日本はそうではない。子どもがほぼ婚姻の中で生まれる構造が今も強い。
つまり同じ結婚離れでも日本では影響が重く出やすい。結婚が減ること自体より、家族形成のルートが婚姻に強く依存していることが本当の問題だ。
「結婚しない人が増えた」だけでは足りない。日本では「結婚以外の家族形成ルートが細い」ことまで見ないと実態を外す。
未来予測
結婚率だけを元に社会を元へ戻すのは難しい。今後は未婚化と晩婚化を前提に制度を組み直す方向が強まるだろう。住宅。税制。育児支援。家族の形をどう認めるか。そこで差がつく。人口構成への影響は高齢化の記事にもつながっていく。
日本の課題は結婚観を昔に戻すことではない。結婚しなくても生きやすく、子どもも持ちやすい社会をどう作るかだ。
まとめ
・OECD平均の婚姻率は2022年に4.3だった
・1990年には多くの国で5〜7だったが、その後大きく低下した
・1990年から2022年に婚姻率が上がったのはOECDでハンガリーとアイスランドだけだった
・結婚離れは日本特有ではなく先進国に広い流れだ
・日本では婚姻の外で家族を作るルートが細く、影響が大きく出やすい
結婚しない人が増えているのは日本だけではない。だがその変化が何を意味するかは国ごとに違う。日本の重さは、結婚率の低下そのものより、結婚に依存した家族の形にある。
データソース:OECD “Marriage and divorce: Society at a Glance 2024”
